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ふくしま「テレワーク×くらし」体験をしてきました!

概要

福島県では現在、県外在住の方が福島県内に一定期間滞在し、コワーキングスペースなどでテレワークを行った場合に費用の補助が受けられます。コロナ禍で、自分も普段はテレワークで仕事をしているのでそんなに違和感は無いのですが、福島県という都内から離れた場所でテレワークを行ったらどうだろう?ワーケーションって話題になってるけど、実際やれるものなのだろうか?

と思い応募したところ正式に受理されました。補助が受けられたので、早速福島県でのテレワーク体験をしに1週間程滞在して参りました。その体験記を書こうと思います。

福島県といえば…

東日本大震災で大きなダメージを負った福島県。今もその爪痕は酷く、更に隣国による風評被害と嫌がらせも相次ぎ厳しいとは聞いていました。そんな復興中の最中に起こったコロナ禍。観光も去る事ながら地方経済へのダメージが凄まじいと聞いています。

とは言え、いざ自分も福島県って?と聞かれると、若干困りました。歴史で言えば会津若松や奥州藤原氏、白虎隊でしょうか。あとは温泉地が有名である事…位しか知りませんでした。調べて見ると、第一次産業だとモモ、ナシ、あんぽ柿。イチゴ、コシヒカリ。第二次産業では、伝統工芸である赤べこ、こけし。会津漆器、会津本郷焼などの陶器、磁器。他、日本酒造が多い事で有名だそうです。で、これは調べていて初めて知ったのですが、福島県でもっとも栄えている街は郡山市だそうです。県庁所在地がある福島市は2番目。会津若松市は4番目でした。確かに実際どちらも行ってみましたが、郡山市が一番栄えている印象でした。

東京からは車で3時間30分程、新幹線で2時間20分程なので、東海地方で言えば豊橋市くらいの距離感です。実際に車で移動したのですが、思っていたより離れているイメージでした。

ホテルでのテレワーク体験

今回利用したホテルはこちら。リッチモンドホテル 福島駅前です。福島駅から徒歩2分程の好立地となります。ここに一週間程滞在しながら各地でワーケーションをしつつ、地元業者様と打ち合わせをしたり東京の業務をこちらでやってみようと思います。

ハリウッドツインタイプ、8階の角部屋でした。ワーケーションに必要な有線LANケーブル端子がありました。これ、とても重要です。無線wifiは電波が若干弱く接続が切れたり繋がったりしていたので、有線接続できる事は非常に大事だと思います。部屋は十分に広く、万一夜遅くに到着してもフロントは24時間受付しているので安心。しかも駅徒歩2分なので迷う事もありません。駐車場は若干狭い立体駐車場なので、注意が必要です。

都内を昼に出たので、到着した時点では夕方になってしまいました。ホテルの窓から見える稜線はとても綺麗で幻想的でした。福島駅の西側は余り高層ビルも建っておらず、落ち着いた印象でした。食事処が少ないのだけが難点なのと、栄えている東口まで歩いて行こうとすると結構な距離を歩く必要があったのが残念ポイントです。

ホテルのワーケーションスタイルはこんな感じです。有線LANはUSBアダプタを介して接続します。(この時は無線wifiで作業していました)
自分はネットワークエンジニアなので、ここからリモートで職場やサーバへアクセスして作業をしています。その為にVPNや様々な仕組みを構築していますが、それがとても役立ちました。

スーツはこの様にガーバメントケースで持ち歩いています。これは旅行へ行く時も同様です。この中にスーツ一式、ネクタイ、Yシャツ数枚が入ります。ワーケーションでもお客様と会う事はあるので、こういった装備品は必要です。

早速コワーキングスペースを探してみる…が…

ワーケーションとはつまり「観光地やリゾート地でテレワークを活用しながら、働きながら休暇をとる過ごし方」です。そうなるとホテルに篭もってばかりも居られません。という訳で、福島県内のコワーキングスペースを色々と探してみました。しかし、ここで問題が発生です。

コワーキングスペースが無さ過ぎる

各地で色々とコワーキングスペースを利用しつつワーケーションを楽しむ!という前提でいたので、前もってコワーキングスペースを探していたのですが、本当に数が少ないのです。。レンタルオフィス的な月単位のスペースはまだあるのですが、1日だけとか数日だけといったスペースは本当にありません。リスト的にはこんな感じでした。

  1. (福島市) コワーキングスペース「Office FUKUSHIMA」 ※月単位
  2. (福島市) Fukushima-BASE(フクシマベース) ※月単位
  3. (郡山市) COKO(コワーキングスペースコオリヤマ) ※月単位
  4. (郡山市) co-ba KORIYAMA ※月単位
  5. (郡山市) 福島コトひらく ドロップイン300円(税抜)/時
  6. (南相馬市) 小高パイオニアヴィレッジ ドロップイン300円(税抜)/時 1,000円(税抜)/日
  7. (会津若松市) いいオフィス 会津若松 ドロップイン500円(税抜)/3時間 個室3,000円/日

色々と調べたのですが、ドロップインの利用可能施設がとにかく少ないので本腰を入れて1ヶ月滞在して…という感じ以外はなかなか難しいようです。そうなるとやはりホテルに滞在してワーケーションをするというスタイルが主流になるでしょうか。

いいオフィス 会津若松店を利用してみた

今回は何度もいいますが、ワーケーションです。観光地を回りつつ仕事をしなくてはいけません。という訳でドロップイン可能な、いいオフィス 会津若松店を利用して作業しました。福島市から会津若松市までは、車で1時間30分。大凡100kmほどの距離です。料金は片道2,350円、往復4,700円と地味に痛いです。何はともあれ、いいオフィスまで移動してみました。

こちらがお店の外観と内観です。とてもおしゃれなカフエという感じですね。宿泊にも対応しているようで、当日は私以外でもコワーキングスペースをご利用されている方がいらっしゃいました。

こちらも当然の様に、無線wifi・有線LANもありました。コワーキングスペースとしては完璧ですね。とても落ち着いて作業ができます。回線速度も95Mbpsと納得のレベルです。このお店の作業はとても快適でした。店員さんも感じよく、とても丁寧な対応をして頂きました。感謝感謝です!

会津若松市の様子です。残念ながらコロナ禍の影響は凄まじく、シャッターを下ろしている店舗もかなり見かけました。ここは鶴ヶ城から2km、車で数分の場所です。時期が時期ならば観光客で賑わっていてもおかしくない場所にも関わらず、人影は疎らでした。

せっかくなので会津若松を堪能する

何度も言いますが、これはワーケーションです。観光地を楽しまなければ、ただのテレワークと変わりません。という訳で福島県を堪能したいと思います。まずはコワーキングスペースからほど近い鶴ヶ城へと行ってみました。

鶴ヶ城、というより会津若松城と言う方が馴染み深いかも知れません。幕末には戊辰戦争の激戦地となった場所です。葦名氏によって築城されたと言われています。葦名氏に聞き覚えがある人は、SEKIROというゲームをやった方では無いでしょうか。あの葦名氏と同性かは判りませんが、こちらが由来かも知れません。SEKIROは福島県が舞台だと言われているそうです。

その葦名氏は伊達政宗によって滅ぼされました。そこからは蒲生氏、上杉景勝、加藤氏、保科氏・会津松平家…と城主が転々と変わり、最後は1868年に解体されました。再建されたのは1957年、本丸は1960年に完成しました。当時の姿では無いのですが、ここから見える山間の景色は当時と変わりないのでは無いかと思います。

昔の人々は、この城を見て何を思ったのでしょうね。

城下にあった茶室 麟閣

千利休が秀吉から切腹を命じられて茶の湯の世界から追放された時に、当時の城主であった蒲生氏郷氏が会津に匿ったと言われています。その際に造ったとされるのが、この麟閣だそうです。こちらでは薯蕷(じょうよ)饅頭という、つくねいもと米粉の皮で作られた饅頭と抹茶を頂く事ができました。一般的な饅頭とは違い、いもの風味が良く中の餡も程よい甘さで抹茶との相性は最高でした。

夜は福島の名物を堪能する

夜は会津ラーメンを堪能しました。会津地鶏のガラを使ったスープの旨味と福島県産豚骨のコクがあるラーメンだそうです。この辺りだと喜多方ラーメンが有名ですが、この会津ラーメンもなかなかのモノ。醤油ベースのラーメンに麺は中太の縮れ麺。とても美味でした。

その翌日は仙台の郷土料理のせり鍋を食べました。何故福島県で仙台鍋?と思われるかも知れませんが、地元の食材を使っているそうです。たまたまこの日は気温が低かったので鍋モノを食べたいなぁと思ったら、ホテルの近くではここしかなかったのです。しかしこのせり鍋。こんなに沢山のせりが食べれるのかな?と思ったりしたのですが、シャキシャキとしていて歯ごたえも良く薄味ながらもコクがあるので、あっさりと完食してしまいました。

昼は餃子です。餃子の照井、満腹の2店です。餃子は福島県のご当地グルメ、通称「ふくしま餃子」と言われているそうです。この様に丸く並べて焼いてあるのが特徴で「円盤餃子」と言うそうです。この円盤餃子の元祖が満腹というお店で、昭和28年から創業している人気店。自分は営業開始直後に行ったのですが、すぐに満席になりました。1皿30個ととてつもない量に思えますがひとつひとつが小さめなのと、このお店。なんとライスが無いのです。本当に餃子だけ。それでも一気に食べ切れる辺りが人気店たる所以だと思います。

餃子の照井はこの辺りにあるチェーン店です。夜でもやっているので気軽に入れます。こちらは若干大きめなのでハーフサイズで頼むと良いと思います。

データセンターを見学

こちらに滞在して数日目。白河市にあるIDCフロンティアのデータセンターへと行ってきました。実はこちらのデータセンター、元々自分のお客様が利用していました。その見学や利便性、それから自分の会社で持っている都内のラック数台を移動できないかという検討も兼ねて、営業様とご挨拶させて頂きました。

こちらがIDCフロンティア 白河データセンターです。白河中央 スマートIC から降りてすぐでした。営業の方曰く、こちらのデータセンターは見た目の大規模さとは真逆で社員数名と他スタッフ数名のみで動いているとの事です。確かに常時来客がある施設では無いのですが、ちょっと驚きました。

発電所施設とデータセンターの裏側です。こちらのデータセンターでは冷却を空冷で行っているとの事でした。壁の間から外気を取り込み、データセンター内部を循環させて温まった空気を外部へ放出するという方法で冷却しています。それにより電気の節約や環境への負荷を抑えているのだそうです。特に冬場はこの辺り一帯、雪が積もるそうなのでデータセンターにはとても適しているのだとか。災害時、電気がストップしても発電機で数日耐えられる程、燃料を備蓄しているそうです。また、そんな時でも優先的に燃料が供給されるよう配慮しているとの事でした。

勿論中へは契約し、かつ登録された人のみしか入館できません。何重にもその為のセキュリティが施されています。残念ながらデータセンター内部の写真は撮影禁止なので見せられませんが、最近のデータセンターの装備は全て整えていました。休憩室では食事が取れるようになっていたのも良いですね。(東京のは飲み物の自販機しか無いのです)

近くの斜面には大量の太陽光発電が設置されていました。ちゃんと管理されていれば、こういう土地活用はとても良いと思います。自然エネルギーはエコでクリーンなので、正しく運用し続けて欲しいものです。

郡山市でもワーケーションしてみた

と言いつつ写真を撮り忘れました。。
仕事の合間に、駅前から歩いて安積国造神社へと行ってきました。

実は神社巡りが好きで御朱印帳も持って歩いています。この安積国造神社は郡山市内では珍しい江戸時代から現存する建築物だそうで、和久産巣日神(食物の神)・天湯津彦命(安積平野を治めた国造)・比止禰命(安積平野を治めた国造)・誉田別命(応神天皇)・倉稲魂命(穀物の神)を祀っています。参道は若干寂しげですが、境内はとても立派でした。本殿の板に時代を感じます。社務所で御朱印を頂き境内を散策すると、お稲荷様や刀剣展示会の張り紙がありました。

こういう風情がある景色はとても和らぎます。都内ではなかなか味わえない雰囲気がワーケーションの良い所ですね。夜は駅近くでイルミネーションを見ていました。郡山駅でも福島駅でも冬場はイルミネーションをしているそうです。

祝日は足を伸ばして…

土日を挟んでの一週間だったので、土日は福島県内の観光地を回りました。同時に震災で話題になった浪江町の近くまで行ってみる事にしました。最初に訪れたのは二本松市です。

二本松市の駅近くにある、杉乃家。こちらではなみえ焼きそばを頂きました。浪江市のB級グルメで有名です。コクのあるソースとシャキシャキとしたもやしがとても香ばしく、焼きそばとは思えないほど極太の麺はとても食べごたえがあります。何でも50年ほど前に労働者の食べ応えと腹持ちの為に作られたのが始まりだとか。その名に相応しく、手頃なお値段の割にお腹が膨れるほどのボリューム。ソース好きにはたまらないB級グルメだと思います。

腹ごなしに歩いていたら神社を発見しました。こちらは二本松神社、神社を見たら参拝せずには居られないのでそのまま中へと入ってみました。旧二本松藩の総鎮守として信仰され、熊野宮と八幡宮が合祀されているので「御両社」とも呼ばれているそうです。地元の方々の為の氏神様。こういう地方に根付いた信仰を感じるのがとても好きです。建立は1643年、その後1794年に火災で消失し1806年に現在の社殿が再建されたとの事。こちらでも御朱印を頂いて参拝させて頂きました。

そしてこちらは二本松城趾。日本百名城の1つに数えられる名城ながら、1872年の廃城令によって全ての建物が破却されてしまいました。元々は室町時代からあると伝えられており、こちらも会津若松城同様、伊達政宗によって数奇な運命を辿る事となります。戊辰戦争では二本松の戦いにて「二本松少年隊の悲話」とともに落城・焼失しました。

現在は箕輪門と附櫓と本丸が復元されており、現在は三の丸御殿の復元を目指しているそうです。ただ現存する資料が乏しく難航しているとか。

真ん中の碑が、二本松少年隊顕彰碑です。歩くとなると結構広く、更に登り下りがそれなりにあるので注意が必要です。

それから、これは伝えていませんでしたが街のあちこちに放射線計があり、「本日の放射線量」という掲示がされていました。これらは全てウェブサイトで公開されています。まだ、福島第一原発から10km圏内では放射線量が3.0μSv/hを超える地域があるそうです。この掲示を見るだけで、未だに震災の爪痕で苦しんでいるのだと実感しました。

あの震災から9年が経過した、今のリアルな福島県の実情をこの目で見て体験できた事がとても良かったと思います。ネットの書き込みとかニュースの限られた情報で判断するのはとても危険な事です。当時の政権の体たらくによって、まだ苦しんでいる現状。そして、そこから這い上がろうとする人々の努力を鑑みる事ができました。

更に足を伸ばして

あぶくま洞まで行ってきました。全長600mの洞内に種類と数の多さでは東洋一ともいわれる鍾乳石が続くと言われている、鍾乳洞には目が無い自分が楽しみにしていた場所。14時位に到着しました。バスが何台も止められる凄まじい広さの駐車場…には数台の車が止まっているだけでした。

チケットを買い鍾乳洞の中に入ってみると…そこには誰もいない素晴らしい鍾乳洞が広がっていました。……いや、ヤバいでしょう…。本当に誰もいません。貸し切り状態です。行けども行けども誰もいない。本当に一人で鍾乳洞探検ができるレベルです。コロナ禍における観光地の厳しさを垣間見ました。これじゃあいつ廃業してもおかしくないと思います。数名の従業員だけで切り盛りしている様です。

地方の観光業はこのコロナ禍のせいで、かなりの方が職を失ったでしょう。特にバイトや派遣社員は真っ先に切られたと思います。そんな状況もまた、リアルな話としてここに記載しておきます。

鍾乳洞はライトアップされていて、とても幻想的でした。本当にこのあぶくま洞を独り占め。こんな贅沢が許されて良いのでしょうか…という程に素晴らしく、そして印象的でした。600mなのでゆっくり歩いても1時間程で周ることができます。特に滝根御殿と月の世界という場所はオススメです。ずっと見ていられます。

この鍾乳洞ではワインが貯蔵されていました。売店で購入する事ができます。鍾乳洞は年間を通して一定の温度が保たれているので、ワインの貯蔵にはうってつけなんだとか。帰宅して飲んだのですが、少し辛口なのに芳醇な美味しいワインでしたので是非購入してみてください。観光地価格としてはお安い方だと思います。

最後の楽しみ…それは…

温泉!!!

福島県は非常に沢山の温泉があります。今回訪れたのは高湯温泉。何と福島駅から16kmほど。時間にして30分もあればついてしまうという最高に立地です。こちらも残念な事にコロナ禍のせいで営業を断念された場所もありましたが、今回は高湯温泉共同浴場 あったか湯に行ってきました!

高湯温泉は吾妻山連峰の中腹にある温泉街で、400年以上の歴史があると言われています。全国有数の高濃度硫黄泉で薬効成分が高く源泉かけ流し湯が楽しめる温泉地として有名です。1600年頃には湯治場として有名となったそうです。そしてこの温泉の特徴と言えば何といっても…100%源泉かけ流し!そして加水加温無しという本当に自然のままの温泉が楽しめます。

そして何より凄いのがこの色!

青濁色ではあるものの、昔訪れたカプリ島の青の洞窟を思い出すような青い温泉はなかなかお目にかかれません。湯質は柔らかくちょっとピリピリしました。硫黄泉の効能は以下の通り。

  • 殺菌力が強いので表皮の細菌やアトピー性皮膚炎に効く
  • 尋常性乾癬
  • 慢性湿疹
  • 皮膚化膿症
  • 末梢循環障害
  • (飲用) 胆道系機能障害
  • (飲用) 便秘
  • (飲用) 高コレステロール血症

この様に身体にはとても良いので、湯治場として栄えていたのだと思います。薬効の高い療養泉となれば、テレワーク疲れの身体を癒やしてくれるのでは無いでしょうか。車で30分で行けるのはとても魅力だと思います。

また、ここに来る途中に吾妻の駅ここらというJAのお店があり、地元の特産品が販売されていました。こういった地元の食材で料理をして食べるという楽しみもワーケーションならではなのかもしれません。

最終ジャッジ

さて。最後になりますが、福島県がワーケーションに適しているかどうかという判断をしなければなりません。私が下した判断はこちらです。

業種次第ではアリ!但しIT関係ではかなり厳しい

となりました。理由は様々あります。

まず、集落(市)単位の移動がとてもコスト高である事です。最初の方で福島市から会津若松市まで移動しましたが、片道で2,350円。つまり往復では4,700円も掛かります。その上、往復で1時間。積雪があれば更に時間を取られてしまうでしょう。郡山市ですら1,330円。往復2,660円。下道で行くと40分以上掛かります。

こういったワーケーションの場合、やはり転々として観光地を巡りたいという思惑があります。ただそれを実現する為には時間とコストが大幅に掛かってしまい、魅力が半減してしまいます。更にいうと福島県は面積も大きいので観光地が県内に点在する…となれば、移動してワーケーションというよりどこかを拠点にして近場で楽しむという感じになります。ただ、そうなると各市の中にある観光地がかなり限られている…という状況になります。

次に、ワーケーションで使える場所が本当に少ない点です。バーチャルオフィス契約するとなるとコストが掛かりますし、自宅を法人登記するとなるとワーケーション的にも余りメリットがありません。大きな市では賃貸住宅もそれなりに賃貸料が高いとなると、更にメリットが薄れてしまいます。

IT関係では厳しいという理由はまだあります。

2020年末の時点でドコモのLTEマップです。高速道路近辺以外では大きな市で入りますが、ちょっと離れた所だと800MHzのLTEしか入りません。移動中、山の方では電波がかなり入らなかったという事もありました。恐らく楽天モバイルだと壊滅的に利用できないと思います。

IT系でリモートワークをする場合、まず何はともあれ安定した回線の確保が重要です。となると、ホテルか自宅に籠もるしか無い…となった場合、ワーケーションが心から楽しめるかと言われたら難しいと思います。何かあったら東京まででなければいけない!とすると、新幹線で2時間30分。車で3時間30分となったらおいそれと移動する訳にはいかないと思います。

結論?

じゃあどんな職種ならいいのか、と言われたらやはり第一次産業か物書き(小説・漫画・イラスト等)、元々ノマドを得意とする様な職種だと思います。あとは土地が広いので、製造業やITでもAIやロボット、ドローンといった開発を目的とする業態なら良いでしょう。

第一次産業は言うまでもなくですが、物書き系がいいのは引き籠もれるからです。主に温泉地に。常に同じ姿勢で長時間原稿に向かうので、身体はどうしても痛みます。それを気軽に点々とできるのもワーケーションならではの楽しみではないかと思います。最近はペンタブも持ち歩けるレベルまで進化しているので、デジタル漫画家さんでも対応できると思います。

これだけの温泉街を転々とするだけでも楽しみがあるはずです。原稿に疲れたら温泉に入り、地元の地酒を楽しむ。冬は雪見酒といった事もできるでしょう。とは言え、それらを全て考慮したとしても…

それって他の県でも代替可能じゃね?

と言われてしまうと反論の余地が無いのも事実です。。”福島県でなければならない理由”という唯一無二の何かがあれば変わるのですが、現状だと他県より飛び抜けて率い出る要素が思い当たりませんでした。

例えばつくば市IT推進プラン(つくば市情報化推進計画)の様に何か先進的なものに特化した区を作るとか、福島県の伝統工芸に従事する人達には手厚い補助がある、という様な”人を呼ぶ為の強み”が欲しいと思います。会津塗(漆器)などはとても素晴らしいですし、B級グルメやラーメンといった食文化に特化しても良いでしょう。とてものんびりとした土地でゆったり過ごせるだけに、とても惜しいなと思いました。個人的には、本当に温泉が好きなので毎日でも通えるなら近場に家を借りて、テレワーク仕事しつつ毎日湯治で身体を治すというのもアリだな…でも、それだけじゃ会社ごと移住する事はかなり厳しいな…というのが本音です。

長々と書きましたが、このふくしま「テレワーク×くらし」体験支援事業自体はとても素晴らしいと思います。これが無ければ自分もワーケーションってどうだろう?と考える事も無かったですし、福島県ってこんなに温泉が沢山あるのか!という発見もできなかったと思います。恥ずかしながら、赤べこと喜多方ラーメンだよね!というだけの認識でした。(スミマセン)

この様な機会を与えてくださった福島県企画調整部地域振興課のご担当者に感謝です!