前置き
基本的に自分はパソコンつけっぱなしの人です。というのもいちいち起動するの待つのがめんどくさかったり、リモートで接続して色々やったりする事が多いからです。
前のパソコンはi7 2600k + 24GBメモリという所謂 Sandy Bridge おじさんというヤツです。これを Windows7 から Windows10 へアップグレードして使っていましたが、アップグレードが良くなかったのか色々なアプリで不具合が発生するようになりまして。せっかくだから話題になっている 3rd Gen Ryzen で1台組むかーと思った訳です。丁度DDR4メモリが微妙に値上がりする?というタイミングだったのもありますし、たまたま狙っていた AMD Ryzen7 3700X が定価で入手できたからというのも大きかったです。
問題はマザーボードとストレージ。X570は出たばかりで安定度はどうなのか判らず、かつ高価。そうなるとB450が選択肢に入ります。色々なサイトを回ってみても性能差は皆無、ただオーバークロック(OC)耐性が高いのと、PCI Express Gen4 が使えるかどうか的な感じのようでした。前者は余りしないですし、後者対応のパーツを今買うか?と言われれば疑問。それに、B450でもBIOSのアップデートで PCI Express Gen4 が使えるという情報もあったし、何より市場に出てからたっぷり時間が経っているので安定しているだろうという予想を立てました。最終的には、(各サイトで評判も良く Gen4 が利用できそうな) ASRock B450 Steel Legend を選択しました。
ストレージはそれに合わせて、NVMe M.2 SSD を選ぶ事にしました。こちらもコスト重視で1TBの中でも特に安かった crucial P1 CT1000P1SSD8JP を選択。SeqRead2000MB/s・SeqWrite1700MB/s と性能はそこそこですが、HDD時代から考えれば遥かに高速、SSDと比較しても数倍早いので満足です。
最終仕様
最終的に仕様は以下のようになりました。
CPU | AMD Ryzen 7 3700X [329ドル] |
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CPUクーラー | 純正 Wraith Prism Cooler [付属] |
マザーボード | ASRock B450 Steel Legend [\11,880] |
メモリ | ADATA XPG GAMMIX D10 32GB(16GBx2枚) [\14,980] |
グラフィックボード | nvidia GTX1060 [旧パソコンから流用] |
SSD | crucial P1 CT1000P1SSD8JP [\12,760] |
電源ユニット | 玄人志向 KRPW-BK550W [\5,043] |
ケース | ENERMAX BECITE Iron Grey [\3,480] |
OS | Windows10 Pro 64bit [昔の余りモノ] |
細々としたパーツ(ファンやCPUグリス等)を合わせて、だいたい総額9万円程です。OS代やグラフィックカードを流用したとは言え、昔組んだ時と比べて随分安くなったものだなぁと感動しました。
電源やケースについては賛否両論あると思います。GOLD や PLATINUM がいいという人も当然いるでしょう。自分は適度なモノを買って壊れたら新しく買って付け直すという方法を取ります。その為、なるべくメンテナンス性が高くなるように配線方法を工夫しています。ちなみに過去の経験上 BRONZE でもつけっぱなしで5年は持ちます。
ケースについても同様で基本的にコスパ重視です。物凄くデザイン性に凝っても結局机の脇に閉まってしまうので魅せるという事を重視していません。最近はLEDがピカピカして凄いのですが、自分は光らせる事に全く興味がありません。寧ろアホっぽいとすら思っていました。しかし今回のCPUクーラーは純正でWraith Prism Cooler なのでピカピカと光ります。そこで、敢えて毛嫌いしているLEDで色々と光らせてみようと思いました。(何故か自分は毛嫌いしているモノを試してみる傾向があります。昔は髪染めなんて最低と思いながら何故か赤髪にした事もあります)
パーツが届きました
購入したモノが続々と届きました。ここが一番ワクワクしますね。ちなみにドル表記だったRyzen7はお察しの通り、amazon.com から仕入れています。日本だと送料が掛かるのでは?と思う方。鋭いですね。自分は別の仕事で輸入する機会があったので、そちらと一緒に送りました。厳密には送料が掛かっているのですが細かい話なので割愛します。ただ日本で買うよりも相当安い金額だと思います。まだ流通量が少なくて、かなりのプレミア価格だと思いますし。
crucial の隣に2台SSDが置いてありますが、これはたまたま余っていた128GBのSSDです。2本を敢えてRAID 0にしてテンポラリとして利用しようと思います。消費電力も少ないですし。(大体計測したら SeqRead 450MB/s・SeqWrite 380MB/s 程度でした)
まずはケースと電源を配線する
ケースは下側に電源をマウントするようにできていました。ここはただネジ止めするだけなので簡単です。電源ケーブルはプラグイン形式なので、あとから挿していきます。そうしたらケースの脇にある口から取り出して、マザーボード側へ出します。電源とマザーボードに仕切りがある、というか電源が金属の箱で覆われているのは熱効率からでしょうか?正面には大きなファンがついていますし、電源のファンは底面に来るようマウントされますが、その部分は網目加工がされています。つまり、底面から空気を吸って直ぐに背面から排出されるようになっています。
エアフローを考える
分かりにくかったので図にしました。青が電源。緑がファンです。赤い線のようなエアフローになっています。前面(画像右側)から吸気して背面と上面から排気するようにしています。ファン数はそれぞれ2個ずつですが、前面側のファンの一つは電源側もカバーしている為、吸気能力は若干下がります。それに対して排気側は妨げるものが無い為、前面側よりも吸い出す力は強くなります。つまりケース内部は若干負圧になります。個人的には負圧寄りの設計する事が多いです。
前面のファンは2機。元々のケースについていた物と、下のファンは何か自宅に余っていた赤LEDのみが点灯するファンです。比較的静かで良かったのでそのまま流用しました。どうせここはほぼ隠れてしまってLEDは見えないので、これで良いです。
マザーボードについていたパネルをはめ込みます。これが何かすっごく固くて入りにくかった…やはりケースが安いからですかね。
マザーボードへパーツ類を取り付ける
マザーボードを開封。最近のマザーボードは凝ってますね… NVMe M.2 SSDにはヒートシンクがついているし、随所にヒートシンク。更には埋め込みされたLEDと中学生が好きそうなギミックが満載です。作りもしっかりしていて一昔前の知識しか無い自分には異世界に来たレベルでした。まずは一番取り付けしにくそうな NVMe M.2 SSD から付けていく事にします。(グラフィックカードに干渉する為) 中央のヒートシンクについているネジを外すだけです。
ネジを外すとこんな感じです。スロットに差し込むだけの簡単設置。
こんな感じで差し込みます。あとは外したヒートシンクを NVMe M.2 SSD につけてネジと共締めするだけです。特に注意点は無いのですが、静電気に気をつけましょう。
CPUを取り付けます。横のノッチを引き上げてロックを解除して、そこにCPUを差し込むだけです。切り欠きがあるので、そこに合わせればすんなり入ります。無理に入れてピンを曲げないように注意しましょう。
挿したあとはそのままノッチを戻せばロック完了です。次に付属してきたCPUフクーラーを取り付けしますが、ここで一工夫。元々CPUクーラーにもグリスはついているのですが、これを高効率タイプに更新します。
CPUクーラーの取り付けを一工夫
Thermal Grizzly のCPUグリスです。CPUグリスは熱伝導性の高い物がよりCPUクーラーの性能を使う事ができます。純正CPUクーラーを使うので、より効率的にしようという魂胆です。
まずはヒートシンク部分についているグリスを取り除きます。アルコールで簡単に取れます。自分はパーツクリーナーで除去しました。
CPUにグリスを塗ります。どうも最近のグリスは×のように塗っても大丈夫とか色々描いてるのですが、昔の考え方から抜け出せない自分は丁寧にかつ均一に塗りました。ここの厚みの差で伝わる温度が変わる気がするんですよね。
マザーボードへ取り付けしました。これ、壊れるんじゃないかって位硬かったです。なかなか取り付け図の様にいかず、バキっ!という音と共にレバーが固定されました。。心臓に悪いです。
それにしても純正クーラーとしては異常な程大きくて銅使っていますね。熱伝導性を高めようという意識が見て取れます。これも一昔前には似たようなアフターパーツを買っていた様な気がします。
このファンを光らせる為に、USBケーブルをファン横の端子へ接続してマザーボードにも接続します。まずは仮配線で適当に繋げます。
次に挿しにくそうなメモリを挿しておきます。ちなみにまだマザーボードはケースへ付けていません。付けない方が作業しやすいと思っているので、この方法を取っていますがこれはどれが正しいとか無いので何でもいいと思います。メモリはA2番とB2番へ挿しています。
この後、マザーボードをようやくケースの中へ収める事ができました。
ケース内部の仮配線をする
ここで問題が発生。マザーボードのピンの位置と電源から伸びているケーブルが干渉しています。ただケーブルがフラット形状だったので、無理矢理曲げて干渉しにくくなるようにしました。
ここ、CPUファン用の端子とスピーカー端子、電源ボタン用端子があって結構挿さないといけないのです。
マザーボードへ12Vを供給する端子へ電源ケーブルを挿します。この辺りから配線の取り回しをどうするか考えていますが、まずは全て仮配線で動作確認をしなくてはいけません。
流用するグラフィックカードはまだ別のパソコンで動作しているので、こちらも仮で余っていた AMD Radeon HD 6800 を挿しました。
あとはATX 電源コネクタを挿して、グラフィックカードにPCI-Eを挿して、システムパネルヘッダー(電源ボタン等のケーブル)を挿して起動試験します。この時には最低限のケーブルだけで良いです。
仮配線による起動試験とエージング
キターーー!
海外から買ったパーツの初期不良はとても怖いので最初の難関をクリアしました。初期不良率30%程度の自分ではこの時点で勝ったも同然でした(笑)
このデフォ設定のまま3日程起動させっぱなしにしてエージングします。熱暴走やハングアップがあればこの時点で判ります。この低負荷時でハングアップするようなパソコンは使い物になりません。ケースも開けっ放しなので、この時点でのハングアップは明らかに何かのパーツに異常があります。もしくはCPUクーラーの取り付けとかですね。
嫌いだったLED(笑)も綺麗に光っています。マザーボード側も光るので本当に明るいですね。初期設定はレインボーカラーで光っていました。途中でBIOSの画面から色々と光り方を変えたら、これはこれでありかも?と思うようになりました。自分はWAVEが好みのようです。
残りのパーツの取り付けと配線の整理をする
3日経ちました。問題なく稼働し続けたのでパーツに異常は無いと判断して、他のパーツの組付けと配線のまとめに入りました。
まずはSSD2個。これは電源の横(前面下)に並べて配置しています。SATAケーブルはLEDと合わせて細い赤線の物を別途購入しました。細い線はエアフローを邪魔しないので効果ありますね。
SATAコネクタはとても変な位置にあります。まずはこの部分を揃えて綺麗に配置。他の電源ケーブルとかはまだ未着手。
更に上面にファンを追加。背面のファンも最初から付いてきた物と交換して光らせるようにしました。光り方を変えたいので種類を微妙に変えています。(単にそれぞれ箱汚れパッケージがあって1個ずつ安かった)
点灯を確認したので、ここまでは問題無し。ファンが増えるとケーブルと同時に増えます。特に光らせるとなると、CPU ファンコネクタだけではなくアドレサブル LEDヘッダーへも接続しないといけません。配線がこんがらがるのはとても嫌なのでまとめる事にしました。
アドレサブル LED ヘッダー をひとまとめに
アドレサブル LED ヘッダー や RGB LED ヘッダーの位置ってファンからとても遠いので、全てのファンに届くようにするととても大変です。そこで、このパーツを使ってまとめる事にしました。ただこのパーツ。基盤がむき出しです。裏面に両面テープを貼ってケースに取り付けするタイプですが、その両面テープが絶縁になるのだとか。。
怖すぎるので熱収縮チューブで保護してまとめました。色はSATAケーブルと合わせて赤にしています。
この後もひたすらトライアンドエラーで配線をまとめてエアフローの邪魔をしないようにまとめていきます。タイラップ(インシュロック)等があるとかなり良いです。
……。
何か見つけたので挿しました。
ケーブルはジャンルごとでまとめると管理しやすい
だいぶ綺麗にまとまってきました。この時点で完成度は7割程度です。ついでに元のパソコンからBDを引っこ抜いて移植しました。
先程のRGB LED用3分岐ケーブルはファンのすぐ前に両面テープで貼り付けました。ここに上部のファンからRGBケーブルを伸ばしてまとめています。グラフィックカードに供給するPCI-Eケーブルは一度手前側に折り曲げて、そこから空中配線でまとめました。フラットケーブルだからこそできる技です。
24ピンケーブルは太いので、一度前面へ空中配線してからマウントベースを取り付けて、そこにインシュロックをつけて固定しています。ケーブルはぷらぷらしていると異音の元になるので、空中配線していてもしっかりと固定してください。ここまで固定していても、ケーブルのジャンルごとにまとめているので、簡単に分離できます。
奥の赤いケーブルがSATAケーブルです。こうやって色が違うと見た目にも良いですし、どこをどう弄れば外れるかが判り易いのでオススメです。配線はできる限り裏側(マザーボードが取り付けられている板の裏側)へ回しています。
SATAケーブルと空中配線の部分。BDドライブへ接続する電源ケーブルが若干浮いてて不満ではありますが、電源は電源としてジャンルでまとめてインシュロック固定しているので外しやすいです。SATAケーブルは血管をイメージしつつ、ファンのエアフローの邪魔にならない位置で固定しています。
ファンの前に遮る物がなく、そのままグラフィックカードとCPUファンへ向けてエアが届くので冷えやすいのでは無いかと思います。
常にエアフローを考えてケーブルを固定していく
最終段階。右側下(前面)は先程の通り、赤でまとめて血管とか心臓、鼓動をイメージしました。ファンの赤LEDは固定色です。ファンの前の太い電源ケーブルは邪魔しないように空中配線しているので、エアはそのまま届くはずです。
ケースの邪魔なケーブルはBD上にまとめて固定しました。ここならエアフローの邪魔にならないし、固定を外せばすぐに取れるのでメンテ性もばっちりです。ここまでで配線だけで12時間程掛かりました。アホです。
グラフィックカードも本番用のGTX1060を移植しました。Radeonは旧メインパソコンへ移動(笑)
メモリ上のファンは吸い出す用なので、前面から入ったエアがここを通って上部へ排出されます。また、下の方からのエアはCPUクーラーへも届くので同時に冷えるはずです。
CPUクーラー奥のファンは勿論排出用です。CPUクーラーの上部にファンをつけていないのは、CPUクーラーが吸気する際にここからも吸い込めるようにしたかったからです。負圧的には若干下がりますが、ここから自然吸気する事でエアの邪魔をする事なくCPUファンへ冷たい風が取り込まれて左右のファンから排出されます。
CPUの下側に這っているケーブルは12V電源ケーブルです。ここを通す事で上部へのエアフローを阻害しないようにしています。配線も綺麗に90度で曲がっているので工場の様な感じですね。夜の工場見学が好きな方には刺さるかも(笑)
前面側。ほぼ完成。ファンの前がエアフローを “ほぼ” 阻害していないのが判るでしょうか。本当は電源ケーブルの空中配線は嫌いなのですが、ケースも安かったし仕方ないと諦めました。至る所にマウントベースを這ってケーブルをまとめているのが判るかと思います。何度もいいますが、ケーブルはぷらぷらさせると異音の原因や金属疲労による断線を引き起こします。なるべく固定する事でトラブルを防いでください。
細かい所ですが、SATAケーブルも二股からまとめてインシュロックで1本化しています。こうすると動かなくなり剛性も上がるのでトラブルが防げます。また交換も容易になるような配置にしています。無駄な長い配線は無理にならない程度にまとめて固定しています。
裏側です。ここに色々な配線を通してなるべく前に出さないように工夫しています。前に出る=エアフローの邪魔をするという事です。おまけにこのサービスホールを使うとケーブルを変えたい時でも簡単に変えられるという利点もあります。電源が壊れても交換が容易になりますね。
最終型。BD上部のケーブルもループさせてまとめました。これは電源ケーブルでは無いのでループさせても磁力を発生する事はありません。一見ごちゃついて見えますが、基本的にはエアフローを邪魔しないようにしようね、という考え方です。
あとはどのケーブルも数箇所の固定を外せば、引き抜けるようにするという事を念頭に置きましょう。
おまけ(断念)
ネタでこっそり仕込んでみました。PC98のピポって音を出すアレです。ただこれ、何故か自宅では頻繁になりまくったので使えないと判断して外しました。今はUSB形式のものも売られているらしいので、そちらを入手したらつけるかも…(笑)
最終結果
CPUのクロックは特に変えていません。OCしようかと思いましたがめんどくさくてやめました。AUTOにまかせています。
メモリだけは若干のOCをしています。BIOSでDDR4-2866 設定にしていますが全く問題なく動作しています。ちゃんと32GBとして認識しているし、落ちる事もありません。タスクマネージャーのメモリでも 2866MHz と認識しています。
8コア16スレッドは圧巻ですね。。 Sandy Bridge おじさん (4コア8スレッド)からは単純に倍なので、それだけでも相当です。メモリも24GBから32GBへ増えたのでとにかく色々なアプリが軽くなりました。写真のRAWデータの編集は異常に速くなってサクサクですし、aviutlの変換速度もかなり上がりました。
ディスクはこんな感じです。4桁リード・ライトは初体験。隔世の感がありますね。これでしばらくまた戦えると思います。
さて次は厄介な銀行関係の証明書再発行やら何やらの作業が目白押し…環境を移行するのはとてつもない労力がいりますね。。