Tesla Model S 試乗


去る3月4日、Tesla Model S に試乗する機会を頂いたので、表参道まで行ってきました。かなり気合を入れた展示を行っている様で、嫌でも期待は高まります。

自分が試乗した車は、Model 85 と言われる、所謂後輪駆動車。85kWhのバッテリーを搭載し、270kwの出力が可能となるモーターを装備しています。馬力に直すと凡そ360馬力。それがエンジンとは異なり、瞬間的にフル出力が可能となるので、ケタ違いの加速が楽しめるはずです。

まずは外観。クーペにも似たスタイルで自分好み。このスタイルで5+2座。通常は5人乗りでエマージェンシー的に後ろ向きお子様シートが2人分追加できるという不思議な仕様です。とは言え、工場出荷時のオプションなので後付はできなさそうでした。

乗り込もうとするとドアノブがありません。ドアノブのある付近に指を置くと、ドアノブがせり上がってくる仕様。これは未来感があってかっこいい!シートに座ると程よく包み込んでくれます。欲を言えば、肩サポートが欲しい所です。座り心地は悪くありませんが、夏はちょっとムレるかも。

エンジン始動という儀式が無いので、座ってシートベルトを閉めてポジションを決めてギアをDに入れたら直ぐに発進できます。何か物足りない感じ。勿論走りだす時も無音。タイヤノイズしか聞こえません。

発進してすぐに思ったのは車幅感覚が掴みにくい事です。全幅219cmは小さいとは言えず、地下駐車場からの出発では壁に擦るのでは無いかとヒヤヒヤしました。実際、このサイズでは立体駐車場は厳しいと思います。

さて、Tesla Model S には様々な運転モードがあります。まずは、ステアリングの重さが変えられるモード。コンフォート・スタンダード・スポーツと選べます。クリープもオン・オフが選べる辺りが面白いですね。他は回生ブレーキの効きの強さを変えられます。スタンダートとロウ。スタンダードにすると、アクセルオフが一般人のブレーキと大差無く効きます。オートマに慣れている人には慣れが必要ですが、マニュアル乗りならエンブレを効かせて止まる感じとよく似ているので、違和感なく乗れると思いました。そして、車高調整。ベリーハイ・ハイ・スタンダード・ロウ、更にジャッキモードもあり、車のメンテナンスの時にジャッキが余裕で入る高さまで上がります。最後にトラクションコントロールのオン・オフ。これが驚きだったのですが、後述します。

他にもサンルーフの開け方がスワイプだったりと変わっているのですが、これは割愛。初期状態でインターネットに接続していて、Googleマップやホームページの閲覧、Podcastやネットラジオも聞ける。更にはソフトウエアの更新も自動で行われるというから、恐れいります。本当に未来の車ってこんな感じなのかな?と思いました。いづれは自動走行やナビが導入されるようです。(ナビは現時点で導入が間に合わなかったとの事でした)

最初はコンフォートかつ車高もスタンダードで走りましたが、これがなかなか良く出来ていました。最初に感じた車幅の大きさは運転していると思ったよりも気になりません。渋滞路も走りましたが、アクセルの開度もうまく調節されているようで、クリープ機能も相まってギクシャクせずに乗れます。そして何よりエンジン音が無いので、とても静か。更に欧州車の様に遮音性が高くて殆ど嫌な音はしません。モーターの駆動音もアクセルを踏み込まない限り皆無です。レーダークルーズコントロールという機能もかなりおすすめです。前方車両に合わせて車速を調節することにより、あらかじめ設定された車間距離を維持して走るモードです。アウディだと、アダプティブクルーズコントロールと言われています。ちなみに前方車両が止まればこちらも車間距離を維持して停止します。以前、アウディ A6で試した時は、山梨から首都高を降りるまでアクセルとブレーキを一度も踏む事なく移動できました。これは本当に楽です。

さて、それだけでは面白く無い。というわけで、スポーツモードかつトラクションコントロールを切ってみました。ハンドルの重さが変わり、ダイレクト感が伝わってきます。本当にスポーツカーに乗っているかのようです。トラクションコントロールを切っても緩やかにアクセルを踏めば勿論普通に走れます。けれどやはり本当の実力が知りたい…というわけで、スタッフさんの許可を得てフル加速してみました。容赦なく奥まで一気に踏み込みました。

いや、本当に舐めてました。トラクションコントロールを切っても、欧州車の様にどうせどっかで介在してくるんだろ?と。

一切の介在無し。掛け値なしに360psがいきなり出力されました。それがどの位かと説明しますと…アクセルベタ踏みした瞬間にリアが暴れてホイルスピンしまくり、そのままカウンターを当てながら加速するという感じです。

まさにこんな感じです。アクセルは踏み切りましたけど、普通の人だと怖いと思います、これ。

しかし自分的には「うは!これはヤバい!楽しい!何これ!」とテンションMAXに。タイヤノイズとモーターのキーンという音がこれまた未来感たっぷりで楽しいんです。マジで。エンジン音無いとやる気出ないし、やっぱテンション上がらないかなぁ…と思ってた自分をぶん殴りたいくらい、楽しく走れます。2.1トンという車重を感じない加速はクセなります。ただ、やはりその重さはコーナリングに影響していました。いくら重たいバッテリーを床に引いて低重心化をしたとは言え、絶対的な重さは拭えません。さらに3m近いホイールベースも相まって、スイスイ曲がって楽しむという車ではありませんでした。とは言え、曲がりが遅いかというとそうでも無く、気持ちよく曲がるんです。これは脚のセッティングの良さと剛性なのかも知れません。

逆に言えば直進性は高いので、ロングツーリングは楽だと思います。モーターなので、どこから踏み込んでもリニアに加速するという不思議な感覚も味わえます。もうひとつはブレーキ。回生ブレーキと同時に効くので、2.1トンでも物凄く止まります。ビックリするくらいに。ABSが介在しても挙動の乱れも無く止められるのはさすがだなと思いました。

最後はサンルーフを全開してのんびりドライブ。後部座席まで開くので、これが物凄い開放感。オープンカー並…は言い過ぎですが、本当に開放感たっぷりで心地よい。夜の街をサンルーフ全開で流したら気持ちいいだろうなーと思いました。

 

最後にじゃあこれを買うか!?と言われたら…まだ買いません。値段的に高いという事もありますが、一番の問題は充電とリチウムイオン電池の寿命です。色々聞いてみたのですが、 Tesla RoadStar の頃には最大で60%まで減ってしまったという車体があったようです。Tesla Model S でもそれが起こらないとは限りません。バッテリーはパナソニックのNCR185650を数千個並べていますが、この電池。500回充電で2900mAhから2100mAhまで落ちるとカタログにありました。つまり容量が72%になるという事です。バッテリーは8年間距離無制限なのですが、劣化による交換がどこまで認められるかが、現時点で不明なのが気になります。

そしてもうひとつの問題が充電ステーション。20分でバッテリーの約半分まで充電できるテスラのステーションはまだ数が少なく、地方に行くほど壊滅的。そして一般の急速充電ステーションでは50kW(テスラのは120kW)なので、ざっと計算しても2.4倍の時間が掛かります。移動より充電している時間の方が長く付く事になってもおかしくありません。高速道路のサービスエリアの充電ステーションでは誰かが充電していたら待たなければならず、オマケに混雑時はここに駐車する愚か者もいます。

燃費で計算すると、だいたい30km/l程度なのでコストパフォーマンスは素晴らしいと思います。とは言え、日本においてはまだインフラの整備に問題があり、自分の様に地方へ行く機会の多い人が使うには、まだまだ課題が山積みなのかも知れません。逆に言えば、都内で利用する分には十分な数の充電ステーションがあるので問題は無いと思います。

これらの問題が解決され、更に欧州車の様に日本の環境に合わせた車作りが進んでくれば、選択肢のひとつとして、とても有力な候補になるのでは無いでしょうか。それだけのポテンシャルを秘めた車だと、私は思います。

 

もっとフル加速したかった(笑)

 Photo: Sony NEX-5n + Sigma 19mm F2.8 EX DN

カテゴリー: Car

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