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Audi e-tron GT quattro 試乗記

  • Car, Review

やっぱりAudiで参戦してる者としては…

気になりますよね、あの Audi が満を持して用意した電気自動車。Audi e-tron GT quattro
Audi は2033年にはエンジン車両の開発は完全廃止し、2026年からは電気自動車(EV)オンリーになると発表済みです。エンジン搭載車の開発は2025年が最後になるという話だそうです。コロナ禍や半導体不足のせいで、このスケジュールがどうなるかは判りませんが EV へシフトしていくのは間違い無いと思います。

電気自動車に関する主観

完全に私個人の電気自動車の考えですが、シティモビリティとしての電気自動車は発展していくと思います。ただ完全に置き換わるか…と入れたら、ここ10年ではかなり微妙だと考えています。まず充電の問題。Aston martin valhalla は最高出力(800kW)で充電すると10分でフルチャージできるそうですが、一般的に普及されている充電ステーションでは、CHAdeMO が62.5kW。テスラのハイパワーステーションで 250kW です。300km走行する度に、30分の休憩が必要となります。夏場や冬場だとエアコン・ヒーターで更に電気の効率は落ちる為、電費が悪くなるでしょう。

今、提唱されている ChaoJi規格 が 900kW なので、これが普及すると5分の充電で走行距離400kmが可能となるようなのですが…それでも時は金なり、なのです。確かにコンセントはどこにでもあるので、ガソスタに比べて山奥でも電気さえ通っていれば充電できるよ!という意見もありますが、それにしても400km程度の度に30分以上の時間を食うのは、どう考えても現実的ではありません。

そういう意味ではバッテリーの劇的な進化が無ければ電気自動車の時代は来ないと思います。それは、”常用”車としての使い勝手は損なわれているからです。特に日本人は車のタイヤの空気の管理ですらまともにできないズボラな人種なので、そんな人達が電費に気をつけて移動できるとは到底思えないのです。そういう意味で、シティモビリティ、市内を適度に移動して自宅で充電するという簡単な使い方からスタートするのでは無いかと思っています。

欧州が脱内燃機関を廃止したい訳

これも私感ですが、すっごい雑に言います。「欧州が自動車業界を牛耳りたいから」だと思っています。

トヨタがハイブリッド技術の特許をほぼ抑えていて、現行プリウスではバッテリー電圧を昇圧して600Vで使っているそうです。対して、欧州ではマイルドハイブリッドなる48Vが主流です。一般的な理由として、48Vのマイルドハイブリッドは低コストに利用できる、高電圧ハイブリッド(200Vや600V)に必要な安全装置が不要なので、コストが下げられて、かつ整備性も落ちないというメリットがある、と言われています。確かにストロングハイブリッドでは分解整備する際に特殊な工具(完全に電気を通さない工具)や、手順を踏まないとメンテナンスができないので、そういう目に見えないコストが掛かるのは事実だと思います。しかし、効率や燃費を考えたらストロングハイブリッドの方がいいに決まっているのです。

そこで欧州はディーゼルを見直し、「これからの時代はディーゼルだ!」と各社でディーゼル車を出しまくりました。昔は黒鉛の的として良いイメージが無かったディーゼルをアドブルー(尿素)やEGRの進化、遮音性を高める事で”常用”化をする事に成功したと思います。ただ、2015年9月に発覚した、フォルクスワーゲンのディーゼル不正疑惑のせいで、クリーンディーゼルの印象はめちゃくちゃ悪くなりました。そのせいで、ディーゼルは不正の温床!というレッテルが貼られてしまい、シェアが激減しました。

そこで目をつけたのが電気自動車。「トヨタはずっとEVに対して乗り気ではない」という認識があったようなので、今から作ればトヨタは乗り遅れるはず!そしてディーゼルでついてしまったレッテルを SDGs という大義名分で改善できる!という後ろ盾があり、電気自動車へと舵をきったのでは無いかと想像しています。

その「トヨタはずっとEVに対して乗り気ではない」は、つい先日「バッテリーEV戦略に関する説明会 」でいきなり30車種を発表したので、その目論見も外れたのですが。というか、RAV4 EV や ハイブリッド をアレだけ作っていて、電気自動車に手を出していない、と考えるのは甘すぎますよね……

それでも電気自動車の未来は明るいか?

前置きが長くなりましたがそんな背景もあり、欧州車が満を持して色々な電気自動車を出してきました。そして、Audi e-tron GT quattro に乗せて頂く機会がありましたので、コレ幸いとばかりに試乗させて頂きました。今まで、電気自動車と言えば、タイカン・Tesla ロードスター、モデルS、モデルX、モデル3 と試乗しているので、比較できると思います。

六本木にて試乗

当日はこのようなカタチで展示していました。
Audi e-tron GT quattro ・ Audi e-tron Sportback ・ Audi e-tron が展示され、それぞれ試乗が可能でした。自分は当然、12/24 – 12/26 限定の Audi e-tron GT quattro に試乗しました。クリスマスイブに何やってんだって話ですが、まぁそれはそれ。トナカイソリの変わりに、Audi e-tron GT quattro に乗るサンタが居てもいいでしょう(笑)

実車はこちら。タクティクスグリーン メタリックという珍しいカラーだと思います。アウディに乗る方だと、だいたいはフロレットシルバー メタリック・アイビスホワイト・ミトスブラック メタリック・デイトナグレー パールエフェクトを選ぶのでは無いかなと。

諸元表はこちら。

  • 全長×全幅×全高 (mm)  4,990×1,965×1,415
  • 最高出力  390kw(530ps)
  • 最大トルク 640NM
  • 車重    2,320 kg
  • 駆動方式  AWD(quattro) 後輪操舵無し
  • 一充電走行距離 534km
  • 乗車定員  5人
  • ラゲッジ容量  405L
  • ステアリング  右
  • 車両本体価格  ¥13,990,000 (税込)

530馬力に640NM、なのですが車重が2.3tとかなりの重さです。重さは当然ステアリングの応答性や軽快さに影響します。
その辺りをモーターのアシストや回生ブレーキでどう処理しているのかが、とても楽しみです。メーターは全て液晶なので、とても見やすく必要十分な表示がされていました。勿論この部分にナビを表示する(後述)事も可能なので、視点移動が少ないのはとても良いですね。

気になったのは、左右のミラー・バックミラーの見にくさです。特にバックミラーは余り見えないと思った方が良いです。R8並、とは言いませんが一般的な車両に比べてかなり小さいと感じました。左右のミラーも同様にリアフェンダーの張り出しがとても広いので、そこに隠れてしまい後方確認がとてもしにくいです。自分はレーシングドライバーなので、多少見えなくても何とかなりますが、一般の方が乗られるにはリアカメラを多用した方が良いかな…と思いました。

最近流行りのアンビエントライトですが、Newメルセデスほど下hi(YouTube)…ゲーミング風には感じませんでした。色が変更できるかは聴きそびれましたが、恐らく可能では無いかと思います。足元はそれなりに広く、またシートの移動距離も十分にあるので体格の大きな方でも問題無く乗れると思います。ちなみにチルト・テレスコは電動でした。

comfort モードでスタート。ちなみにモードは efficiency, comfort, dynamic, Individual の4つ。

さて。地下駐車場から出ていくのですが、まず車幅1960mmはやはり大きいです。これはバッテリーを搭載する関係や、ポルシェ タイカンとプラットフォームが同じなのでこの大きさなのですが、これは慣れが必要です。自分の普段乗りの車が 1860mm ですが、それでもこれには気を使います(試乗車ですしね) この感覚は、あのテスラモデルSを彷彿しますね。とは言え見切りが悪いかと言われればそうでも無く、まぁこのくらいでしょって感じなので本当に慣れだと思います。

そしてびっくりしたのが、電気自動車だから静かでしょ?と思ったんですが、何かエンジン風の音がかすかにします。これはスピーカーでそういう音を作っているのてすが、運転手が運転しているんだーって気分になって良いと思いました。窓を開けると結構大きな音がしているので、歩いている人にも気づいてもらえる、という点ではとても良いと思います。ちなみにdynamic では室内に更にそれっぽい音が鳴ります。

操作ですが、運転中に頻繁に押す事になるだろうところはたいていボタンになっています。最近はコストの関係かタッチパネルでしか操作できない車両も増えていますが、自分は反対です。タッチパネルは押した感覚が薄く、いくら震えたりする反応があっても、本当に所定の場所を押したのかが不安になるからです。それに、エアコンのスイッチひとつ押すのにタッチパネルだと何回か押す必要があったりと、不便でなりません。AUTOにしとけって話もありますが、そういう問題では無く、単純に視点移動させずに任意の操作をしたい時に、少しでも視点がブレる操作方法はマズいという話です。

2.3t という重量もあってか、車体剛性感はとてもありました。実際、剛性はあると思いますし。
しかし、重いな…という感覚は余りありませんでした。実際、サスペンションの動きもかなり感じ取る事ができました。

その癖、2.3tもありながらハンドリングは比較的軽快です。当然ながら”重さ”は感じます。しかしステアリングを切ってから車体が動くまでのラグを感じる事はありません。重たい車だと、よいしょっという感じでフロントが動いてから、リアが動き出す、みたいな車がもっさりと動きがちなのですが、さすがその辺りはよくチューニングされているなぁと思いました。

当然ながら轍でハンドルを取られるという事もありません。フロントが 225/55R19, リヤは275/45R19 という大型のタイヤをつけているにも関わらず、不快な乗り心地とは思いませんでした。勿論日本車と比べれば硬さはあるんですが、路面の凹凸のいなし方がうまいんでしょうね。

インフォメーションには色々な情報を表示できます。ラップタイムが表示できるというのも、最近のブームなんですかね(笑) ちなみに、0-100km/hの加速タイムは4.1秒だそうですが、ローンチコントロールモードにすると3.3秒だそうです。添乗員さん曰く、「普通のモードでも3秒台連発するんで、4.1秒は控えめに出しているんじゃないですかね」との事。

つまり、2.3t の巨体が 0-100km/h 3秒台 で走れるという時代なんですね…と思うと怖くなります(笑)
ちなみにこの車両はモーターなのでギアは無いのか、と思ったんですがリアは2速のギアがあるそうです。何か不思議ですね。

そして独特なのが運転の仕方です。パドルシフトがついているんですが、当然ギアの為についている訳ではありません。これ、回生ブレーキの効き方を変える為についています。シフトダウン側のパドルを押していくと、アクセルを離した時の回生ブレーキがどんどん強くなっていきます。パドルでシフトダウンする感覚に近いといえば近いのですが、独特のフィーリングです。

逆にシフトアップ側のパドルを上げていくと回生ブレーキが効かなくなっていくので、普通に走行中にアクセルを離しても回生ブレーキが掛かりにくくなります。エンジンブレーキに相当するものが少なくなる、例えるとハイギアでアクセルを離した時のエンブレの効きの悪さに近い感覚です。これは慣れが必要かなぁと思いました。ただ、それをうまく使うとワンペタル…とまではいかないんですが、ほぼブレーキペタルを使わないで停止できます。なので、ブレーキパッドはほぼ減らない、と言っていました。つまり錆びやすくなったり低温になってしまうので、部材は錆びにくく低温から効くタイプのモノになっているとの事。色々と考えられているんですね。

ナビはこんな感じで表示するモードと、全画面表示が選択できる

アクセルペダルは comfort モードでは多少荒く踏んでも、急加速したりはしません。逆に dynamic にすると応答性があがります。この辺りが誰でも 530ps を日常で使えるようにしてあるんだなぁと感心しました。電気自動車はトルクがいきなり出るので加速感は素晴らしいのですが、その分アクセルの操作に気を使います。e-tron GT quattro はそこをうまくチューニングしてあるなぁと思いました。

しかし dynamic にすると一変します。足回りは引き締められて、乗り心地も固くなるしアクセルのツキがとても良くなります。一瞬だけ100%まで踏み切ってみましたが、それはまぁ凄まじい加速で 0-100km/h 3秒台は出るでしょうねー…という加速感を楽しめます。しかし、そこは Audi Quattro の四輪制御で危うさが全くありません。昔、テスラ モデルS で電子制御を全てカットしてアクセル全開にした所、後輪から白煙を上げて加速した事がありました。当然、リアが振られるのでカウンターを当てて加速したのですが、あれはあれで面白いものの一般の方にオススメできるかと言えば、絶対無理です。すぐに事故するのは目に見えています。そういう意味では、e-tron GT quattro は安心して踏み切れる、と言ってもいいと思います。料金所ダッシュはとても楽しめるのではないでしょうか(笑)

SDGsに配慮

インテリアですが、殆どの素材がリサイクルされているものを利用しているそうです。

ステアリングはアルカンターラ100%だそうですが、ドアに貼られているアルカンターラはアルカンターラ”風”で、漁師さんとかが使っている網を解いてリサイクルしていたり、廃棄ジーンズの繊維を使っていたりしています。インテリアのプラスチックもペットボトルのリサイクルだったりと、SDGsをかなり考慮して作られているとの事。シートも勿論そういった素材なので、皮は一切使っていないそうです。しかし、それでこれだけの高級感が出せるのだから凄い時代になったと感じました。

あと、天井のパノラミックルーフが素晴らしく、先日乗ったMcLaren GTのように開放感がとても気持ちよかったです。

イベントは盛況でした。

という訳で30分程の試乗は終了。渋滞していたので、性能の全開を試せた訳ではありませんが、逆に低速ノロノロ走行でも全く不満はありませんでした。使いにくいとか、トルクがありすぎて調整が難しいとかそういう不満はありません。

強いて言うのであれば、障害物センサーの感度がとても高いようでかなり離れていてもピーピー反応しました。調整はできると思いますが、試乗車ではそういう設定なんでしょうね、たぶん。路駐車を避ける際にもピーピー鳴っていたので、若干鬱陶しいなぁとは思いました。あとはアクセルが若干重いです。もっとも、踏み切ろうとしなければこれで良いと思いますが、自分の用に常に踏み切ろうとするとなると結構疲れます。

あとは回生ブレーキの所でも触れた、ブレーキのフィーリング。ブレーキペダルを使ってそっと止まろうとしても、回生ブレーキの効き具合で踏み方を変えないといけないので、ちょっとやりにくいと感じました。もっともコレはパドルシフト弄るなって話なんですが(自分が悪い)

イベント会場に戻ると、e-tron GT quattro のプロジェクションマッピングのデモがやっていました。こういう世界観、いいですね。クリスマスイブという事もあって、沢山の人達が足を止めて見ていました。

ついでなので。

展示車両の Audi e-tron Sportback も撮ってきました。

色はちょっと判らなかったのですが、この色めちゃくちゃいいですね。夜の街にとても良く似合うと思います。スポーツバックなので、リアトランクの容量も素晴らしく色々と積めそうでした。自分的には、意図に反するのはよーく判っているのですが、ツライチにして車高落としたらカッコいいんだろうなーって思って見ていました。

最近流行りのリアテールランプも一直線ですね。これは好みでしょうが、自分はあんまり好きでは無いです。

こちらがインテリア。広さは当然ながらやはり質感が高いですね。Audi e-tron GT quattro のような位置にタッチパネルはありませんでしたが、こちらもボタン操作が可能ですね(こだわり)

サイドミラーがLEDなので、車内の液晶に映るそうです。こういうのも増えていくんでしょうね。

街はクリスマスモード一色でした。
オミクロン株が空気感染するんじゃ? というニュースもどこへやら。とは言え、外でマスクをしてさっと撮るだけなら大丈夫でしょう、たぶん(笑)

という訳で試乗記でした。
Audiジャパン様、このような機会を頂きありがとうございました!

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