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Volvo ボルボ S60 D4 MY16 BSR ECUチューニング DIY!

前フリ

ECUデータの書き換えは非常に危険な行為です。何十万とするECUを破壊する恐れもあります。また、車のチューニングに関する知識やパソコンの知識、ある程度の整備ができる事が前提です。

当方は一切保証しませんので、全ては自己責任で行ってください。これはあくまでただの情報or体験記です。情報内容が全て正しいという保証もありません。

ECUチューニング。雑に言うとコンピューター書き換えてパワー出そうぜ!って魂胆です。元々S60 D4には公式で「ボルボ・ポールスター・パフォーマンスソフトウェア」というものが存在します。190hp/400Nmだったエンジンパワーを、このソフトウェアのインストールだけで、200hp/440Nmにパワーアップできるんですね。つまり元々エンジン廻りにはかなりの余裕があるようです。チューニング内容は、スロットルレスポンス・ギアシフトスピード・精緻なギアシフト・オフスロットルレスポンス・エンジン出力・AWDモデルのトルク。これだけやって、保証込み191,481円。ぶっちゃけフルコンやサブコン入れて現車合わせしたらこの位すっ飛びますし、かなりお安いと思います。新車保証が適用されますしね。

ただ自分の車の場合、スロコンが入っていますし他人と同じ物は使いたくないという天の邪鬼なもので、色々と調べてみました。

ECUチューニングは色々あるみたい

S60に対応したショップ・ブランドのECUチューニング、調べてみたらこれらがありました。

RICA ASIA
d5t5 VDASH2
RaceChip
・ PPE
BSR

この中で最初に脱落したのが、RaceChip。サポートに問い合わせた所、D4204T14には対応していないときっぱり言われました。PPEは始動直後に不安定になる事があるという記事を見かけて断念。RICA ASIAは、RICA Stage 2 258hp / 545 Nm で 615.00ユーロプラス税、あとECUの読み取りにiSoftloaderが必要らしくこれが75ユーロプラス税。送料も入れるとだいたい10万前後になるそうです。

ちょっと二の足を踏む金額で、次に試したのがVDASH2。元々コーディング用にVDASH2を持っていたので、ここからECUチューニングのデータを送ると対応してくれる、しかも7万位で安いぞ!?という事でデータを読み取って送ってみました。VDASHの使い方はその内に別記事で書きます。

が。

何十回とECUデータを送っても全く対応してくれない!
更にサポートが心底クソでメールやFB経由で何度も連絡しましたが、最初だけ返信が来てあとは放置されました

という訳で、VDASH2はごく一部のコーディングで使うだけで良いと思います。結局最後に残ったのが、BSRでした。しかも!自分が購入した時はセールで20%オフ!ちゃんと対応している事も確認しましたし、250hp/515NmのSTAGE 1で864ユーロの20%オフ!でしたが、この当時は色々とセールをしていたらしく送料込み込みで606ユーロ(7.3万)で買えました。破格だったので飛びつきました(笑) ちゃんと日本への発送も受けてくれるので大変ありがたいです。後述しますが、保証期間中はサポートがとても親切でした。(意図しない動作で)何度も質問する事になったのですが、翌日には解答が届いていました。



開封の儀式



UPS Saverでしたが1週間ほどで届きました。開封すると、ECUデコーディングキットとPPC3本体(書き換え時に必要)、他ケーブル類とバッチがついてきました。このバッチは very important で絶対つけろ!と書いてありました(笑)

日本でD4204T14エンジンにBSRチューニングしているという情報は全く無かったので全て手探りで始めました。youtube等でPPC3の使い方を見るとODB2ポートに接続してちょろちょろすればすぐに書き換えできるよ!ってありましたが、それは旧型の話。最近のボルボECUは暗号化されているので、デコードをする必要があるそうです。昔はECUをBSR社へ送っていたそうですが、最近はデコードツールがついているので、車体から取り外す事ができれば個人でも問題無くデコードできるようになっていました。流れをざっと説明するとこんな感じです。

  1. 車体のODB2ポートにPPC3(液晶端末)を繋げて一度読み込む
  2. 車体からECUを取り外す
  3. デコードコネクタ経由でPPC3と接続する
  4. 上記でデータが読み取れるようになってPPC3にECUデータが蓄積される
  5. PPC Sync 3(液晶端末用の同期ソフト)でBSRにデータを送る
  6. BSRからデータが送られてくるのでPPC Sync 3を使ってPPC3にデータを入れる
  7. 3から6を何回か繰り返す(自分の環境では2回でした)
  8. 最終的にBSRからチューニングされたECUデータが届くので、PPC Sync 3でPPC3にデータを書き込む
  9. ECUを車体に取り付ける
  10. 車体のODB2ポートにPPC3を繋げてECUにデータを書き込む

こんな感じです。自分の環境では途中でVINコード(車体番号)がバグったりして大変でした。ちなみにこのPPC3にはVINコードが紐づきます。よって使いまわしはできません。VINとPPC3のシリアルとパスワードが埋め込まれているようです。ただ有料になりますが、サイトで車の変更が可能です。他社に乗り換えてもデコードツールさえ追加で買えば使いまわしができそうですね。



まず、PPC sync 3 をパソコンへインストールして、PPC3とUSBで接続してみました。SerialとPPC numberが既に登録されています。このPPC numberはサイトへのログインでも使います。



こんな感じです。詳細はページで色々確認ができますし、Synchronization History で過去の同期情報なんかも見る事ができます。

作業開始 ECUの取り外し



それではちゃっちゃと作業します。まずはECUを取り出す必要があるので、バッテリーカバーを外します。ECUはこのバッテリーの向かって左奥にあり、通常はカバーされています。ただこんな位置に電気系パーツ…しかも車外にあって大丈夫なんですかね?と不安にもなります。

これを覆っているカバーはカーリベット(リテーナクリップ)を片っ端から抜いていけば外れます。ただ最終的にワイパーを外さないと完全には取れないのですが、ECUだけなら隙間から何とか外せます。

ECUに接続しているコネクタはラッチを引けば外せるので、よく見て作業しましょう。詳しくは説明しません。(安易に真似して壊されるのが嫌なので、よく構造を理解している方だけが作業して欲しいからです)



ECUはこの2箇所を押しながら引き抜くと取り外せます。なかなか難しいので自分は金属の内張り剥がしを使いながら少しずつ引き抜きました。勿論コネクタは外れている状態です。それから、この近辺には色々なケーブルが通っているので、うまく避けてください。



取れました。ECUはDENSO製ですね。

D4エンジンには、DENSO製のi-ART(intelligent Accuracy Refinement Technology:自律噴射精度補償技術)が搭載されています。1秒間で1000回にも及ぶといわれる燃料噴射の量と圧力とタイミングを最適に制御でき、世界最高水準のクリーンな排ガスと、静粛性、そして燃費の向上を実現することができる、とかとか。それ用のプログラムが組み込まれているのでしょう。たぶん。

ECUにデコーディングキットを取付けしてデータを吸い出す



これがデコーディングキットのアダプターです。精度が高くてそのまま差し込めば良いです。ここにACアダプタ(EUプラグなので要変更)と、キットに付属していたHDMIケーブルでPPC3と接続します。



Identify car を選択するとこの車専用になるがいいか?的なメッセージが表示されますが、ENTERを押してそのままPPC3へ車両データを吸い出します。



「この車のECUはチューンするためにデコードが必要です。今後の指示についてはVCLマニュアルをお読みください。」という表示と共にデータが吸い出されています。所謂暗号化されたECUというやつですね。これは自動でやってくれるので、そのまま待ちましょう。



漸くECUからデータが吸い出せるようになりました。指示通りにENTERで進めていけば良いだけです。100%完了したら、パソコンのPPC Sync3とPPC3を接続して、吸い出したデータをBSRへ送信します。



チューニングデータが届くまでだいたい2日~5日程だそうです。のんびり待ちましょう。

ただ車両によっては右のように、VLC(デコーディングキット)を使ってもう一度データを読み取ってね!みたいに言われる事があります。その度にECUを車体から外すのも面倒なので自分は車体から外したままにしておきました。

ECUを車体へ戻す



数日後、メールが届きました。tuningが完了したよ!という感じで通知が来ます。PPC3を接続してPPC sync3でデータを同期させます。すると、BSRからチューニングデータが届いてPPC3へ書き込みされるようです。あとは指示通り、ECUを車体へ取付てOBD2経由で書き込めば終了…のはずです。



(ちなみに一度ECUを戻したあとに、またデコーディングキットを使ってデータ吸い出してね!と言われると、こんな感じの作業をするハメになります)

PPC3でチューニングデータを書き込む

普通に作業していれば、この時点でECUは車体へと戻りPPC3の中にはチューニングデータが入っているはずです。それでは、OBD2とPPC3を接続しましょう。まず、ドアを開けてエンジンスイッチには一切触れずにOBD2ケーブルを車体へ差し込みます。その反対側(HDMI端子)をPPC3へ接続します。OBD2には常時12Vが流れているので、PPC3の画面がつくはずです。

そうしたら、ブレーキペダルを踏まずにエンジンボタンを長押ししてモード2にします。エンジンチェックランプがついて「ブレーキペダルを踏んでエンジンを掛けてください」という表示が出ている状態です。



Identify car を選択すると、「Tune car with stage 1」という項目が追加されていました。今回購入したのは、ステージ1なのでコレで正解です。ステージ1+以上だと恐らくノーマルではATが耐えられないと思ったのでコレにしました。それでも47馬力アップ、トルク92Nm増加なので大したものですが。。



指示通りにENTERを押してECUへデータを書いていきます。セーフティ機能が色々とついているようで、書き込み前に5分程データのベリファイ(整合性チェック)が走ります。

車のバッテリーに余力があればそのままでも良いですが、自分は念の為にバッテリー充電器を接続しておきました。途中でバッテリー不足になると非常にマズい事態になると思います。たぶん。



95%まで来るとこの状態のまま進まなくなります。ちょっとビックリするのですが、ここでエンジンスタートボタンを押してイグニッションをオフにします。そうしないと次に進みません。延々と待つハメになります。自分はこれを見逃して10分程放置してしまいました(笑)



イグニッションを切ると100%に進みます。Enterを押したら最初の画面に戻りました。remove eventual key とありますが、差し込むタイプのキーでは無いのでこれは無視して大丈夫です。



Your car is now successfully! という訳で無事にチューニングデータの書き込みを完了できました。手間ではありますが、説明書もちゃんとついていますしその手順に沿ってやれば難易度は全然高く無いと思います。気軽にやってね!とは言えませんが、昔のように燃調グラフとにらめっこして現車合わせする…という事をしなくても良いのは非常に楽だと思いました。

ちなみにチューニング後ですが、後程比較データはアップロードするとしてあくまで体感の話です。出足はほぼ変化ありません。普段のECOモードとDモードがSモード位になったかなー?程度です。ただブーストが掛かり始めてからの中間加速が明らかに変化しました。シートに押しつけられる加速というのは久しぶりですね。あー、ターボ車ってこういう感じ!です。ただドッカンターボでは無く自然吸気の大排気量エンジンのようなフィーリングです。ディーゼルなので振動はありますが、回転数は低いのでけたたましさもありません。それが物足りないという人もいるでしょうが、ジェントルマンなセダンとしてはこれで十分満足です。



燃費ですが、実は結構伸びています。この燃料流量をチェックしているんですけれど常用回転時(1300rpm位で流している時)は純正の時よりも流量が少ないっぽいです。ただパワー(馬力とトルク)を出そうとした時はかなり多めに燃料を吹いています。基本的にパワーは空気と燃料の量に比例するので、当然と言えば当然です。ただ、加速がいいので瞬間的に巡航速度に達する & 常用域では流量が抑えてある関係で、結果的に燃費が良くなるのでは無いかと思います。だいたい巡航速度だと70-90ml/分 くらいです。

腕に自信がある方はトライしてみるのも良いかも知れませんね。私はサポートも責任も取りませんが。

番外編


これだけさくっと書いていると何の問題もなく作業できたように見えますが、実は途中で色々と難儀しました。PPC3に記録されたVIN(車体番号)が、なぜか途中でバグってしまったのです。特に変な事をした訳では無いのですが、VIN登録がバグるとチューニングデータを書き換えたりリストアする事ができなくなります。


そこでサポートに依頼してどうしたらいい?と聞いてみました。サポートの対応は簡素ではあるものの、とても早く解答してくれてかつ的確でした。



既にデコード(暗号化)はされているので、デコーディングキットの取付等は必要無く、一度VINナンバーをリセットしたようです。サポートが言われるままに、PPC sync3と同期した所、VINが not set に変わりました。この状態で車体のOBD2からECUデータを読み込みして、BSRへ送るようです。簡単に言うとチューニングデータの作り直しですね(笑)



OBD2からデータを読み取るのに必要な時間はだいたい15分程です。読み取った上で、BSRへデータを送るとVINナンバーがPPC3へセットされました。この辺りは色々と手間が掛かりましたが、サポートもちゃんとしているようなので安心して作業ができました。

これは又聞きなのですが、BSRには日本にも代理店があるようなのです。しかし、販売に前向きでは無いようで暗号化が始まったあとからの車両については情報も無く取り扱いしてくれないらしいです。せっかくこんな簡単にできるんだからもっと力を入れてもいいのになぁと思いました。

さて、チューニングも完了したので、今後はエンジンオイル管理やエアフィルターの管理、ブレーキとタイヤのメンテはマメに行わないといけませんね。こういうのを疎かにすると車体へダメージが行きます。特にターボ周りが壊れると悲惨な修理費になりますし、ちゃんと止まれてこそのチューニングです。ブレーキ関係のメンテナンスは特にしっかりとやりましょう。タイヤは言わずもがな、トルクが増大しているのでタイヤの摩耗は激しくなります。月に一度は溝と内圧は確認してください。

チューニングとメンテナンスはしっかりと両立してやっていきましょう!

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