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BMW323i 25th AE 試乗記

先日、とある方のご好意により「BMW 323i 25th Anniversary Edition」のハンドルを握らせていただいた。
まだ納車直後(2400km程)で、ようやっと慣らしも完了という程度の極上品である。

まず、BMW 323i について簡単に説明。
エンジンは直列6気筒DOHC、排気量2496cc(2.5L)。5800rpm時に177馬力を発生し、
トルクは3500-5000rpmで23.5kgm。
車両総重量は1785kg(カタログ値) なので、少々重い。
馬力だけで見ると、日本車で言えば4ドアの1.8LインテグラやFTO V6 DOHCと同等。

さて、そんなカタログベースの話はいいので、自分の目で見たBMWを書いてみる事にする。
まず見た目。色はブラックサファイヤだった。夜という事もあり、その威圧感は只ならぬ気配を醸し出していた。
スモークガラスという事もあり、知り合いで無ければ余り近寄りたく無い雰囲気がある。
また、25thモデルの特徴でもある、160アロイ・ホイールに17インチのランフラットタイヤ。銘柄はブリジストンRE050。
RE050といえば、そこそこの運動性能も期待できるか?と思い、胸が躍った。

いざ乗り込もうとすると、鍵穴が無い。
流行りのリモートコントロールキーというやつで、鍵をポケットに入れたままドアノブを握るとロックが解除される。ロックする時は、ドアノブの上部を触ればロックされる。
ドアの閉まる音は「ドムッ」という重さのある音で、これだけでも「ああ高級車なんだ」と思える。同様の音はGTOでもするが、あっちは戦車なので割愛する。
ちなみに、ドア内部に横から突っ込まれた際のバー(サイドビーム)が溶接されているが、このバーは車のフレームの位置まで伸びていた。これはBMWのセールスマン曰く自慢らしい。

確かに横から突っ込まれた場合、フレームにつっかえてくれなければ意味が無い。
フレームと合わさっていないと、伝わる衝撃はバーの強度に依存する。
強度が負ければ、バーなどあっても意味が無い・・・という事だ。

さて。そんなドアのウンチクを流しながら乗り込んだ。
シートは、ダコダ・レザーというものだそうだが、意外と硬い。
著者のようなお尻の弱い人には、ちょっと厳しい・・・という事でシートをひいた。
シートポジションは高くも無く低くも無い。170cm程度の身長で丁度いい高さのようだ。
ちなみにシートは電動で色々調整できるので、殆どの人は問題ないと思う。

ここまではいいのだが、残念な事に内装は意外とチープ。
ドイツ車らしく質実剛健と言えば聞こえはいいが、せめて革の一枚張ってもバチは当たらないと思う。ドアに至ってはそこらのバンのプラ板とあまり変わらない。
これはオーナーも同意見のようで、もう少し凝って欲しかったという所だ。

ホームページには、「BMW Individual仕様のウォールナット・アマロネを特別に装備」とあるが、一般人の視点から見ると似非物と大した差は感じられない。
寧ろ、バブル時代のセルシオの方が高級感はあったように感じる。
ただ、BMW独特の味付けというか、小僧っぽさはまったく無く全体的に落ち着いた雰囲気があるので、がっかりする事は無いと思う。

また、これからの時期はシートヒーター(25th装備)もありがたいところだ。
ちなみにこの存在を知らない時、オーナーに勝手に入れられて暑い思いをしたという事も追記しておく。

ETCは標準装備で、バックミラーの脇に投入口が存在する。この着け方は普通にかっこいいなと思った。真似したいところである。

さて。鍵はそのまま使う事も無く、ポケットに入れたまま「ENGINE START」のボタンを押せば何事も無かったかのようにエンジンが掛かる。逆に長押しすればエンジンは停止する。
中に入ればアイドリング時の音は殆ど聞こえず、ここでも高級車なんだーと認識できる。

ニュートラルに入れたまま、軽くアクセルを煽ってみるとBMW独特の野太い綺麗な音がする。消して静かでは無いが、嫌味が無い音なので不快に感じる事は無い。
(よくあるATワゴンのゲリ便みたいなのは、不快しか生まないが。)
ただ、深夜の住宅街では2000rpm程度で運転した方がいいと思う。
エンジンの回転落ちも早く、これだけでもエンジンの緻密さが感じとれる。
駄目なエンジンは、煽ってもなかなか回転が落ちないため非常にかっこ悪いのだ。

最初はDレンジで走り出した。非常にゆったりと加速していく。
多少アクセルを荒く扱っても、フライバイワイヤで制御されたスロットルが調整してくれるので初心者や運転の下手な人でもアクセルで不快になる事は無い。
ただブレーキは初期が強く、こんなに効くの?と思ったくらい。これでは、運転が下手なおっさんがよくやってしまう「かっくんブレーキ」の餌食になるなと思った。
今回はABSが効く程強烈なブレーキはしていないので、その辺の挙動については不明。

323iはトルク特性を見ると、街中で加速が必要な際によく使う辺りで最大トルクが発生している。つまり、本当に乗り易いという事だ。
例えば高速の合流などで距離が短い場合、ぐっと踏み込めば容易に合流ができる程の速度に達する事ができる。
信号からの発進でも、制御されたアクセルがすっと車を加速させるので、こりゃ楽だわーという感想しか出ない。
1700kgオーバーはさぞ鈍重だろうと思ったが、その重さを余り感じないで運転できると思う。
Dレンジで重さを感じるのは、タイトコーナーで速度を落とす時と脱出時の加速して踏み込んだ瞬間だけだろう。ただし、後半はDSレンジでカバーできる。これについては後述する。

それから大きさ。最初に見た時は非常にデカい!という感じがしたが、乗ってみると意外とそのデカさは感じ無い。唯一都内の狭い駐車場に止める時だけはそのデカさを感じたが、運転中は普通の車という感覚だった。
駐車場も止める際には、バックモニタが付くのでよっぽどの初心者でも無い限りぶつける事は無いと思う。ただ、後ろに気を取られすぎて助手席側のフロントをぶつける可能性は否定しない。

さて、そのまま運転を続けたが軽く速度を出してみたいという希望から、高速に乗って見た。ETCゲートで入ったが、料金がアナウンスされなかった。自分は貧乏性なのでETC割引が適応されているか知りたかったが、高級車乗りはそんなチンケな事は気にしないと思う。

高速を80km/h程度で走ってみる。ロードノイズはそこそこ。気になる人はいるかも知れ無いが、よっぽどの神経質で無ければ気にならない。また、高速の継ぎ目の音も運転席まで届く事は無く、脚が綺麗に吸収していた。

しばらくDレンジで走っていたところ、そこそこペースをあげたGTウイング付きの爆音ワゴンが後ろから迫ってきた。先に行かせてついて行ってみたが、普通に付いていける。寧ろ、片手で鼻歌混じりについていけなくも無かった。

これはおっさん連中がこの手の車で高速を飛ばす理由もよくわかるというものだ。車全体から余裕を感じる事ができる。タイヤも鳴かないし、思った通りに車を操作できる。ハンドルは適度に重いが、日本車の狂ったような軽さとは比較するべくも無く良い。

ハンドルを切ると思った通りの角度で曲がっていくので運転が面白い。正直、ATセダンでここまで楽しめるとは思わなかったのは事実だ。
「BMWはFRだから」という理屈もあるにはあるんだろうけど、そんな理屈が吹っ飛ぶ程思った動きをさせる事ができる。Dレンジで走っている時の唯一の不満が「アクセルで挙動をコントロールできない事」なので、ハンドリングがいい分Dレンジで走るのは非常に惜しい!

というわけで、今度はDSモードで走ってみた。
スポーツモードというやつで、上下させるとマニュアルのようにシフトアップ・ダウンができる。シフトダウンさせると、しっかりブリッフィングするのが憎い。
昔、コラムシフトのMR-Sに試乗した事があるが、このブリッフィングは素晴らしかった。ここまでとはいわないが、それなりに走る気を起こさせるシフトダウンの仕方をする。

それから、DSモードにするとアクセルに対する反応が一変する。Dレンジの時はアクセルを入れても車はなかなか加速体制に移らず、コーナーの出口でアクセルを開けて加速したい時に加速せず外まではらむ事は無かった。これはこれで安定志向なんだろうけど、ちょっと元気良く走ろうと思ったらさすがに萎えてしまう。

ところが、DSモードではアクセルを入れた瞬間からエンジンが吹ける。コーナーの手前でしっかりと減速して、車の鼻先が出口を向いたら即座にアクセルを入れて加速!そのまま外にはらむと言う事ができてしまうのだ。アクセルのツキがまったく変わるので、車自体の性格も重さすら変わったように感じる。更にマニュアルモードでも少し走ってみたが、シフトアップ時に多少のラグがある。つまり目標回転数でシフトアップしようと思うと、オーバーレブしてしまうわけだ。実際はATなのでオーバーレブする事なく自動でシフトアップされるが、あまり気持ちのいいものでは無い。なので、元気よく走りたい時はDSモードでいいと思った。

また、それ以上にいいなと思ったのは脚の味付けである。勿論日本の一般市販車とは比べるべくも無いが、そこそこ弄った脚と同じ様な味付けがされている。日本車に乗りなれてる人間には硬いと感じるかも知れないが、これが非常にイイ。工事中のような道を走ると多少ドコドコとするが、先にも述べたようにそこそこの速度が出た状態での付き上げはほぼ気にならない。寧ろ、その車重と相まって地面をべたっと掴んでいる感じすらする。

ここでひとつ実験をしてみた。自分が脚周りのチェックをする時に使う場所で、左の登りコーナーだがその途中に大きな段差(道路の継ぎ目)がある。ここを通過する時にどんな動きをするかというチェックを色々な車でしていたりする。主には自分の車だが。ダメな硬いだけの脚でここを通過すると、速度が上がるにつれ挙動を乱す。酷い場合には、突き上げのショックを吸収しきれずに隣のレーンにまで飛び出す事すらある。(いい子は真似しないでね。自分も前後左右まったく車のいない深夜帯にこっそりやるので)

で、323iでそこそこの速度で通過してみたが、見事突き上げをすべて吸収し体感できる程の挙動は示さなかった。ただ、メーターの間にある何かのランプが2度程点滅した。おそらくトラクションコントロールだと思うが、その程度である。この時の通過速度はあえて書かないが、そこらのおっさんがコーナー中に出す事はありえない程度の速度は出ていたと思う。

他にも下りのタイトコーナーに多少厳しいかな?と思う速度で入ってみても、タイヤを鳴らす事すらできなかった。勿論、公道という事もあり限界どころかせいぜい5割程度の感じで走っているにせよ、この限界の高さは素晴らしいと思う。それから、ランフラットタイヤである事は言わなきゃ分からないどころか、言われてもピンとこない。

ブレーキについて。しばらくブレーキを多様してみたが、踏力は変わらなかった。感覚も変化無し。こちらもずっとブレーキを踏み続けて走りでもしない限り、フェードする事は無いと思う。ただ、初期制動が強いと感じたのは一般道だけで、高速中強めにブレーキをしてみたら意外とマイルドな効きだった。下りでは特に車重のせいでもう少し効いて欲しいかな?と思わなくもないが、のっている速度が早いせいかも知れない。

試乗した感想は以上である。
高速の帰りは非常にのんびりと快適クルージングが楽しめた事も付け加えておく。長距離ドライブでも疲れる事なく楽しめると思われる。

それから、リアシートを倒すとトランクスルーになるのでそこそこ大きな荷物を積む事ができる。この辺りもさすがセダンといったところだろう。

最後になるが、たまたま自分とオーナーさんが入れ替わる時に、自分のポケットに鍵をしまったままオーナーさんが乗り込んでしまった。勿論、エンジンは掛かったままである。そうしたら何と鍵が無いよ!と表示されてまったく車を動かす事ができなかった。コンビニ等でエンジンをかけたまま放置しても盗まれる事は無い。鍵はイモビも兼ねているので、セキュリティ的にも相当優れていると感じた。ただ、この鍵を無くした時の事は考えたくないが・・・

以上、試乗記でした。

< 追記>
文中で「高級車」と書いたが、3シリーズはBMW的に高級車扱いでは無い。ただ、売価を日本車と比較すると高級車クラスの値段になるので、あくまで値段ベースで高級車と記載した。つまり、BMWの基準で言う高級車はもっと凄い!?かも知れないという事だ。
それから、バックモニタはカロナビのオプションでした。このサイズの車になると、バックモニタが欲しい人もいるでしょうね。自分は無くてもいいのですが、あると便利かもって思います。

「BMW323i 25th AE 試乗記」への4件のフィードバック

  1. アニバーサリーモデル‥現行型に試乗したのかな?
    友人のE36 M3B と 弟の 540i に機会があったら
    乗り比べてみてくださいナ。
     

  2. 現行も現行っすね。
    機会があればいつでも乗りますぞ。。

    最近、文章能力を上げるために物書きに勤しんでおりまする。

  3. で、弟の540iは年内に手放すそうだ。興味のあるヒトがいれば
    安価で手に入れるチャンスではあるが‥

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