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久しぶりの試乗記 Jaguar XF 20d

  • Car, Review

最近、色々な縁があって沢山の車に試乗する機会を頂いております。BMW i3やi8、M5。Audi A6、テスラ Model X。レクサスは大体の車の試乗しています。ただこの様に記事にするとなるとなかなか億劫で…ただ物書きのスキルも磨きたいと思って重い腰を上げてみました。

今回は Jaguar XF 20d (2017)です。Jaguar に限らずAudiやBMWは積極的にイベントをやっています。最近はレクサスも名古屋の飛行場の駐車場でイベントをやっていますね。なるべく体験してもらう事で、自社の車をアピールする機会を作っている訳です。最近は若者が車に乗らない&乗っても軽自動車という感じで、本当に必要十分な物で済ませてしまうという感じがします。

 

それからこれもよく聞くのですが、乗りたい車が無くなった、という話です。こちらに関してはよくよく聞いてみると、見た目やスペックだけで面白く無さそうというイメージを持っている印象を受けました。今の車が面白く感じないのは、やはり安全性や経済性、エコという部分が強調されているせいで、本当に運転していて楽しいクルマが作られなくなったという背景もあると思います。ただ、例えばマツダ NDロードスターやアバルトといった小型でキビキビ走る車もあります。利便性は多少スポイルされますが、間違いなく乗って楽しい車だと断言します。つまり、簡単に言うと「知らなければ欲しがる事も無い」という事なのかな?と。

例えば、外車で言えば今でも乗ってめちゃくちゃ楽しい車、沢山あります。一見大人向けセダンなのに、乗ったらイヤイヤこれはヤバいっしょ!みたいな加速をする車もあります。例えば、テスラ Model Sがそうでした。自分はP90Dでしたがトラクションコントロールを切って、車高下げたモードでフル加速したらタイヤから白煙出ましたからね(笑)  2t近い車に773PS相当のモーター、トルク900Nm以上の化物です。大抵の人はフル加速する事すらビビるでしょう。

 

さて、話は大幅に逸れましたが Jaguar XF 20d の試乗です。本当は XE のはずだったのですが、お店から全て出払っているという事で、XFになりました。まずはざっくりとスペックの紹介です。

— Jaguar XF 20d —
排気量:1999cc(2L 直列4気筒 ディーゼルターボ)
最高出力:180ps(132kW)/4000rpm
最大トルク:43.8kgm(430Nm)
燃費:16.7km/L
トランスミッション:8速AT

全長 4965mm×全幅 1880mm×全高 1455mm
ホイールベース:2960mm
車重:1760kg
乗車定員:5名

最近の車なのでやはり重量は重たいですね。1.7tを超えているので全体的にはゆっくりとした動きです。特に左右に振った時には重たいな、という印象です。それからレーンキープアシスト(車線逸脱防止機能)の効きが良く、ハンドルにかなりの頻度で介在してきます。狭い都内を走ると違和感がありましたので、自分はオフにしました。あと、前走者との距離を警告するのもかなりピーピーうるさいので切りました。ちょっとこの車両には問題があったようで、走り出して30km/hくらいからブレーキを踏むとフロントタイヤの辺りでバタバタと音がします。100km/hからキツく踏むと同乗者でも判るレベルの音がしていたので、何か不具合があったのだと思います。

それはさておき、ホイールは大口径化していて18インチのホイールがついていました。それでも乗り心地はそれ程悪く無いので、最近の車の足回りの良さを感じます。ボディはアルミ製らしいのですが、結構重厚な乗り心地です。1880mmもあるとは思えない程、運転はしやすく見切りも悪くありませんでした。

ディーゼルの良さはトルクです。Dレンジにいれて走ると、さっさとシフトアップしていくのでトルクの句切れを感じる事なくスイスイ走れます。気がつくと制限速度を超えてしまいそうになりますね。ただ上まで回しても面白くないので、パドルシフトを使った引っ張ってシフトアップ!という楽しさは全くありません。重さも相まって加速はいいのですが、ちょっと期待はずれのパワー感です。最も、パワー感はフィーリングで作れるので、逆に言えば段付きする事なくスムーズに加速するという事です。でももう少しパワーが欲しいなぁとは思いました。

ハンドリングに戻ると、それなりに素直です。(介在を切った時) キツいコーナーに対して、少しオーバー気味の速度で進入しても、ちゃんと追随してきます。フロントタイヤからスキール音が鳴るので、FRなのにアンダー気味に作っているのかも知れません。渋滞が多かったのであまりキビキビとした動きは試せませんでしたが、少なくても一般レベルで変だな?と思う挙動はありませんでした。

全体的にはとてもいい車だと思いますが、正直このハンドルの操作ボタンは全く頂けません。どこがどんな動きのボタンなのか、直感的に全く判りません。例えば、左の「MENU OK」というボタン。これを押すとダッシュボードのメーターの左画面で車両の設定等を色々弄れるのですが、別に走行中に弄る事はありません。そして左の上下ボタンは音量のアップダウンの他、「MENU OK」モードの選択に利用します。そのモードに入っていると音量はここで変えられません。左右もそれぞれ色々な機能がついていて、混乱します。「MODE」はオーディオソースの切り替えがメインっぽいのですが、これまた色々な機能が割当られています。

更に右側を拡大。アダプティブ・クルーズコントロールや速度リミッターをここで設定します。が、これまた何処を押したらどのモードになるのか、直感的に全く判りません。最後までこの「CAN」が何のボタンなのか全く判りませんでした。それから、アダプティブ・クルーズコントロールモード。全車速対応でモード中に停止した場合、アクセルを軽く踏むと復帰して追随します。

が、そもそもこのアダプティブ・クルーズコントロールモード。速度が低いと動作しません。更に、何故か高速道路に乗って「SET」を押してみましたが、アダプティブ・クルーズコントロールになりません。「LIM」や何かのボタンを適当に押しまくったら、突然動作するようになりました。謎です。アダプティブ・クルーズコントロール自体はちゃんと動作するのですが…前走者が動いてから、かなり距離が離れないと動き出しせん。渋滞時にはそのせいで割り込まれる事も多く、それで前走者との距離警報が鳴る…という状況で結構ストレスが溜まりました。

そして、この左右の矢印。これはアダプティブ・クルーズコントロール中に前走者との距離を決めるんですが、これもそんなに頻繁に変えません(笑) わざわざボタンにして常時切り替える事も無いので、このボタンも必要なのかな…と。「+」と「-」はアダプティブ・クルーズコントロールの制限速度や速度リミッターの速度設定に使います。この車を購入する年齢層って、40代後半や50代といった年配の方だと思うんです。その年代の方が、これらのボタンをフルで使いこなせるとは到底思えません。ここはもっとシンプルに改善しても良いと思いました。

メーターは最近流行りのフル液晶メーターパネル。ここにナビ画面を表示する事もできます。画面自体はとても見やすく視認性も悪くありません。メーターは300km/hまでありましたが、絶対に出ないと思います(笑) 走行モードによって、この画面は色々な色やデザインに変わります。

ナビの表示例。スマホをタイマーセットにして置いて撮ったので、ブレは勘弁してください。こんな感じで大画面にナビができるのはとても良いです。ただ、このナビの操作自体は、ダッシュボードのタッチパネルで行う必要があるようです。「InControl Touch Pro」 というらしく、スマートフォンの操作(ピンチイン・アウト、フリック)対応でした。これはなかなか良いです。ナビ自体はまあまあですね。一昔前の外車のナビに比べたら完成度はかなり高いと思います。少し前のAudiのナビはかなりのアホでしたから…

こちらがダッシュボード。レバーが失くなって、操作は全てダイアル型シフトセレクターになっています。これ、かなりの罠です。BMWに乗り慣れていると、このダイヤル。ナビの拡大縮小に割当てされていたり、画面操作ができたりします。その感覚で触ってしまう事数回。信号待ちでナビを拡大しようとして、DからN、Pへ入れてしまう事がありました。これはオーナーになって慣れれば良いのですが、個人的には違和感でした。どうしてもシフトレバーを操作して育ってきたので、癖というものは抜けません。

エアコンのパネルはまあまあ判りやすいです。ただ「SYNC」ボタンの意味は不明です。左右独立エアコンなので、たぶんどちらかを操作したら両方同じ数値になるのでしょうが、別に必要無いような…それよりも、シートヒーターがタッチパネルじゃないと操作できない方が厄介でした。「AUTO」の隣にあるシート絵のボタン?でできるのかも知れませんが、これも直感的にして欲しいと思いました。BMWなんかだと、ここにシートのボタンとインジケーターがついていて、今どのレベルで温めているか判ります。そういう直感的な部分がデザインにスポイルされて使いにくくなっているのは残念だなぁと思いました。光が反射するとナビ画面がみえなくなるのでシートヒーターが三段階のどの強さなのか、判らないのです。

タッチパネル画面の左下にカメラマークがあるのですが、これも何なのか判りませんでした。バックモニタ用?とりあえず走行中に触っても、何も起きませんでした。ちなみに、走行中にダイヤルを触ってしまい(BMWのジョグダイヤルと勘違いした)バックに入れると、入ってしまいます。ただバックにはならず警告とタッチパネルの画面がバックモニタを映していました。

 

全体的にはとてもまとまった車だと思います。ただ個人的には操作性に難有りだと思いますし、直感的に操作できないのはちょっと頂けないですね。タッチパネルも反応はいいのですが、押した感覚が無いのでちゃんと操作されているかわからなくなります。この辺もより熟成を望みます。という訳で、購入対象になるか!と言われたら……個人的にはパスかなと。大人のセダンとして日常の足にするには落ち着いていいと思いますが、自分は走りを楽しみたいですし、例えば歳を取ってたとしたら…このステアリングのボタンは絶対混乱します。走行中のピンチイン・アウトにしてもそうですが、自分の思い通りに操作できない車は少しずつストレスが溜まるので、そういう所は避けたいなぁというのが本音です。悪い車じゃないだけに、惜しいなぁと思いました。

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